今年の東大文系数学への対応

相変わらず 5題の問題が出て、1題目は余弦定理などの計算派、ごくまれに中学数学を使う図形派など様々な解法が可能な問題であった。ただし既存の解法にとらわれている生徒には手も足も出なかったろう。2題目が確率で題意はシンプルだが難しい。最後の整数問題も整数というより確率に近く、その2題が文系数学で東大がどんな生徒を入学させたいかを示していた。東大の数学は過去にやった問題の知識は役に立たない、初見でできるか?を試す。

理系の数学は将来素粒子や生物学でやってゆくための中核である。数学的な手法に習熟していることが必要条件。ところが文系にはほんとうに数学が必要だろうか? 必要だとすれば何が必要か? そんな結論が問題にも現れていた。文系数学に必要なのは高校数学ではないのではないか。それより「はじめて考えること」、あるいは「考えはじめて、その中に規則を見つけたり、言葉にするすること」 つまり文系の数学には定理を覚えたりすることは役に立たない、ということだ。高校数学は、高2の頃から定理の活用やベクトルでの記数法がとても大切になる。いわば日常から離れて独自の世界を築く。三角関数しかりベクトルしかり微積分しかり。しかし文系には他に大切なことがあるのではないか? 株価の推移から景気の動向を探る、流行りの色調から次のファッションを予測する。中国経済の5年先を予測することと重力波を観測することとは全く違うセンスが必要だ。

今年の東大文系数学の対策を見て、一番必要なのは何かと考えた。それは中学生の図形問題を思い出す初心と、高校ならば自分で考えるしかない確率の難問。それは易しい単語だけを使って英作文をこしらえるようなものだ。つまり「応用」でなく「1から考えて規則にたどり着くこと」、「紙の上で様々な思考実験をはじめる謙虚さ」だと思った。数ⅡBの難問をいくら解いても役には立たない。