教科書に従うべきか

ぼくはもう30年ももっぱら高校の数学を教えてきました。塾というのは生徒の成績が上がってなんぼ、大学に合格してなんぼという世界ですから、この単元、このテーマはこういう風に教えた方がいいという発明のようなものが沢山出てきました。発明というのは過激に言えば、いわば教科書に対する反逆です。その発明の中でも、まず教科書のやり方を覚えてからやらせる解き方がほとんどですが、中には学校の先生も驚くような発明もたくさんあります。高校の数学というのは明治時代から始まったので、ほとんど解き方はできあがっていると思うかもしれませんが、そんなことはありません。個人の工夫で別解が生まれる可能性は高いのです。
ただしぼくが試験を受けるわけではない、試験を受けるのは生徒ですから、発明自身を教えることも大切ですが、その発明を生んだり使いこなすような下地を生徒に植え付ける必要がある。つまり日頃数学に向かう姿勢です。それで一方は図を真面目に描きなさいとか、文章で考えをまとめなさいとか言い、また一方で近い将来、受験生は教科書だけでは行き詰まることが分かっているので、大学初年度クラスの内容も混ぜていきます。一部の生徒は教科書に載っていないと、それに違和感を持つようですが、これらは一流と言われる予備校や塾では当たり前のようにやっていることで、ぼくも高校は都立でしたが受験校なので教科書以上のことを教わりました。英数会には様々な能力の生徒がいますから、全員に教科書を超えろとは言いませんが、丁度テレビゲームと同じで、高度の敵と戦うためには高度の武器をそろえるのは当然のことだと思います。