このごろこんな子がふえました

 あまり主張もなく、気が利くわけでもなさそうなのに「挨拶だけはていねい」という子です。
 ちょっとやり方を注意したり、教えてあげたりすると、ほとんど瞬時に「はい」といったり、ひどい場合は「ありがとうございます」といったりします。
 「そんなにすぐ、はいっ、ていわなくていいよ。そんなにすぐ分かるわけないんだから」「お礼はいいから、考えろよ、自分の頭で」と思います。

 ある時あまり目に余るので聞いてみました。
 「きみたち、そのとりあえず、はい、っていったり、ありがとうっていったりするのはどこで習ったの」
 「部活です」

 部活は「一様序列」ですから、思考停止状態で「ともかく先輩をたてる」「自分も後輩からたてられる」それで安心しようという世界。自分を無くして、「はい」「ありがとザイマス」といっていればいいらしい。

 しかし勉強は「補助線ひとつ引く」にも、「このmay が許可のmayか推量のmayか 」を判断するにも、もちろん「思考停止」ではいられない。無いアタマでも「自分で責任を持って」知恵をしぼらねばならないのです。

 この「思考停止癖」はかなり深刻で、いま三月に入ってきた子たちを「思考停止」のマインドコントロールから解くのに数ヶ月かかっています。わからないのなら正直に「わかりません、もういちど説明してください」といえばいいだけなのですが、これがむずかしい。
 たしかに「質問する」ってとても勇気がいることですね。

 しかしともかくこれは悪い癖です。お返事がいい子は用心。「お返事癖」が壁になって、こちらの指示がしみこみません。むしろ、「むっつり」型「ふてくされ」型のほうが話は案外早い。最初の三十分で直ってしまう子もいるくらいです。

 よく入会の際の面談で「あのう、質問はうけつけてくれるんですか」と尋ねるお母様がいらっしゃいますが、「あなたのお子様は質問をできるような自由な子どもですか」とまず伺いたいです。一見素直ないい子こそが「縛られている」ことがよくあるのです。