実技と講習

 運転免許を取るために自動車学校へゆくと、広い庭で実際に車を運転する「実技」と、学校の教室みたいなところで先生に交通法規を学ぶ「講習」に分かれていて、両方ともかなりな回数を通わなければならない。さて生徒たちに実技と講習のどちらが面白いかというと、大方は実技と答える。学校のロビーで生徒たちが話しているのを聞いていると、自分はやっとクランク走行だとか、車庫入れに手間取って落としたとか、仮免ではじめて高速に入ったがこわいね、などと盛り上がっているが、講習の話はあまり聞かない。様々な交通指標があったり、右折の方法などあらかじめ学ぶのが講習だから、その重要性は分かっているが本音を言えば実技が楽しい。

 いわゆる勉強で「実技」と言えば体育・音楽・美術・書道など、「講習」ならば英語・国語・数学・理科・社会か。でも理科の実験、英語の会話、社会科見学となると実技に近くなる。つまり「実技とは体で覚えるもの」、「講習は頭で覚えるもの」ではなくて「本人が参加するかしないかの差だ」ということではなかろうか。本人が参加すれば、英作文の実技、数学答案の書き方の実技もありえるだろう。こくばん塾が目指しているもそれである。

 この夏、塾でも夏期講習があって生徒は英語を6コマ、数学を4コマとか普段より余分に塾に通った。週に1度だった子が2度も黒板の前に立てば勉強は階段を1段上がる。その間に学校の勉強合宿があって、どこかに泊まり込んで勉強一色という生徒や、予備校とかけもちした生徒もいた。それは毎年のことだから驚かないが、そういう生徒は合宿が終わると、塾の出来は悪くなった、あるいは悪くなったようにぼくには見受けられた。勉強全体のレベルや知識は増えたの分、しばらく離れていた塾のやり方を忘れただけか。それはまだ分からないし、総括的なことは言えない。

 ただいくら本人が参加しても、実技と自習の違いはあるかもしれない。もし剣道のビデオを見ながら、竹刀を100回振ったらそれは実技なのか自習なのか。ぼくにはどうも学校の夏期講習や勉強合宿は自習としか思えない。大きな力が生徒を改革するように見えないのである。